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急激な高齢化に伴い、増え続けているのが認知症です。「団塊の世代」が75 歳 以 上 と なる2025 年 に は、 認 知 症 患 者 数 は 全 国 で700 万人前後に達し、65 歳以上の高齢者の約5人に1人を占めるようになると言われています。 2016年の診療報酬改定で、身体疾患のために入院した認知症高齢者への病棟での取り組みや多職種チームによる介入が評価され、認知症ケア加算として、新設されました。当院では、高齢の患者が多いものの、積極的な認知症ケアへの取り組みがされていませんでした。 2019年度の認知症看護認定看護師教育課程を修了した看護師と看護部を中心とし、2020年4月に新設された委員会です。同年5月から「認知症ケア加算1」の算定を開始しています。
*入院中のせん妄、認知症高齢者の中核症状、行動・心理症状(BPSD)、低活動型のせん妄や 抑うつなどに関する、非薬物療法や薬物療法及びケアに関する相談助言。
*認知機能低下が示唆される入院患者の今後の療養生活や精査の必要性について入院中から検討し、早期治療・ケアを提供する。
*認知症医療・ケアに関する研修会企画、情報発信。
英訳すると「Delirium/Dementia care team」。その頭文字から当院では【DCT】としています。
専任医師:1名 (精神科・神経内科3年又は研修修了)
専任看護師:1名 (経験5年かつ600時間以上の研修修了。原則週16時間以上チームの業務に従事)
専任の常勤社会福祉士又は精神福祉士:2名
各病棟看護師(病棟DCT):各3~5名
管理栄養士:3名
作業療法士:2名 (うち1名は認知症ケア専門士を2021年に取得)
薬剤師:2名
医療安全管理者:1名 医事部:1名
1.生活機能の1日でも長い維持
2.BPSDの緩和
3.家族の介護負担の軽減
4.生活習慣病の治療の継続
ラウンド:ラウンドメンバーが各病棟へ週に1回伺っております。
*入院中の患者の行動、言動、現在の治療方針、経過、入院前の生活状況、退院後の療養場所など情報を共有して、認知症を有する人の特性を踏まえ、対応の要点について薬物療法・非薬物療法の両面からディスカッションし、次回ラウンドまでに具体的援助内容や方向性を定める。
*認知症を有する患者、あるいは認知症の疑いのある患者で、入院中対応に苦慮しているケースの相談を受ける。
*相談依頼時にチェックされている対応困難な内容について、改善・不変・悪化によって評価する。
委員会:病棟DCTとラウンドメンバーが月に1回集まって話し合っています
*前月の対象者人数や身体拘束使用率について報告
*改善の評価を得られた場合は、病棟スタッフとともに良かった対応の要点について討議し共有する。
専任医師と専任看護師から全職員に向けて、年2回の研修を行っています。
認知症看護認定看護師が実践する「高度な看護処置」とは、認知症の症状への対処だけではありません。問題行動の対策や認知症の合併症を予防するための健康管理も重要な役割です。また、患者にとって快適な生活環境を整えるために、患者のニーズを適切に捉える力も必要とされます。認知症の症状は患者によってさまざまです。また、認知症になると自分の思いを他者に上手く伝えることができなくなることが多くなります。「そういう人」で終わらせるのではなく、「何か伝えたいはず」とサインを見落とさないように観察し、それをくみ取る必要があります。「認知症であっても意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域の良い環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現」に向けて、病院でも質の高い看護の提供をめざし、スタッフ一人一人の意識が向上するような支援をすることも私たちの役割だと考えています。
【所属学会】 一般社団法人 日本作業療法士協会 一般社団法人 東京都作業療法士会 一般社団法人 日本認知症ケア学会
認知症ケア専門士とは、認知症ケアに対する介護福祉学、医学、看護学などの知識、ケア技術、および倫理観を備えた専門家です。常にケアを見直し、新しい知識や技術を吸収し、ケアに生かすことができるよう日々努力してまいります。また作業療法士として、患者様にとって大切な作業を支える視点を大事にし、その人にあった支援を、オーダーメイドで考えます。